リセッションの懸念高まるも米ドルは安全資産として維持できず 投稿者: kaigaifx-trade2023年4月27日2023年4月27日市場ニュース 米ドルは他の主要通貨に対して下落 昨日の米ドルは他の主要通貨に対して下落し、今日も続落中です。世界最大の経済を取り巻く環境が不透明な状況のなか、市場は米ドルを安全な避難所として信頼することがもはや困難であると感じているように見受けられます。昨日は、米下院が政府の債務上限を引き上げる法案をかろうじて可決しましたが、法案は上院を通過する可能性がないので、バイデン大統領は拒否権行使の意向を示しました。さらに、米政府がファースト・リパブリック銀行救済に介入しないと表明したことで、資産売却計画について投資家は見通しがつかない状況になりました。アトランタ連銀による第1四半期のGDPは、前半期比で1週間前の2.5%から1.1%に大幅に下方修正されたことを受けて、今日発表の米GDPは下振れリスクとなりました。理由は、予想以上に減少した3月の耐久財受注データが予測に織り込まれていたためです。 今日の米第1四半期GDPに注目 今日のGDPデータは、過去3か月間で米経済が2%成長したと見られています。そのため、予想以上の下振れは市場の不安材料となり、今年後半のFRB利下げ観測が高まるかもしれません。FF金利先物によると、来週のFRB会合にて0.25%の利上げが予想されていますが、年末までに0.5%以上の利下げも織り込まれています。もし、今日のGDPデータが期待外れとなったとしたら、米ドルに圧力が加わることでしょう。逆にデータが予想外に上昇したとしても、利下げ観測が消える可能性は低く、米ドルの回復は限定的で短命に終わる可能性もあります。ECBによる年内の0.75%相当の利上げが見込まれているなか、ユーロドルは、しばらくは上昇基調となることが予測されます。 明日、日銀植田新総裁による初の政策発表 一方、明日は日銀・植田新総裁にとって初となる政策発表を控えています。植田総裁は、現状の政策を早急に修正する必要はないと繰り返し発言しているので、今会合は現状維持と見られています。そのため、日銀が今後数か月でどのタイミングで政策修正を行うのかに市場は注目するでしょう。10日に行われた就任会見で、植田総裁は金融混乱後の米利回りと国内の利回りが低下したので、緊急にイールドカーブ・コントロールの見直しを行う必要がなくなったと発言しました。それによって、夏頃まで現状維持との見解が一部の投資家を落胆させ、円にとってはダメージとなる可能性があります。しかしながら、今後の会合での政策修正が示唆されたとしたら、円はサポートされ上昇する可能性もあるでしょう。 ハイテク株上昇でナスダック上昇も米株式市場は強弱混合 米株式市場では、リセッションへの懸念が重しとなったことで、ダウ・ジョーンズとS&P500は共に赤字で取引を終える格好となりました。一方、ナスダックは0.5%近く上昇し、ハイテク株は急騰しましたが工業株のような経済に敏感なセクターの株価は下落しました。しかし、FRB利下げ観測とともに決算報告への市場の期待は低く、大きな失望となる見込みはないので、株式の下落は抑制される可能性もあるでしょう。コモディティについては、先週の米国の原油在庫が予想以上に減少したとのデータがあったものの、昨日原油価格は約4%も下落しました。これによって、市場のリセッションへの懸念が鮮明化した結果、短期的な改善の兆しはあるものの、将来的な燃料需要に影を落とす可能性があります。