日銀現状維持で円安&低調な米GDPも米ドル上昇

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日銀植田新総裁が超緩和政策を維持

日銀植田新総裁による初の政策決定で、現状の金融政策をほとんど変更しない現状維持を発表しました。

この決定と多角的レビューの導入は、おおむね予測されていたものでした。

過去の緩和政策を包括的に見直すことへの意思は示されましたが、多角的レビューの期間は市場の予想よりも長い一年半と設定されました。

市場は、この長期的なレビューに対して早急の政策修正への可能性は低く、重要な内容について触れていないと判断した模様です。

先任の黒田前総裁による金利政策におけるフォワード・ガイダンスは高く評価されていたものの、今回撤廃が発表されました。

また、短期および長期の政策金利が、現在またはそれより低い水準に留まると予測している旨が声明からは取り除かれました。

さらに、日銀は今年と来年のインフレ予測を上方修正し、コアCPI指数は今後2年間で2.0%前後で推移し、2025年には低下すると予想している状況です。

そのため、今後のさらなる上方修正はインフレの粘着性を示すことになると言えます。

記者会見にて、植田総裁は2%の持続達成目標の見通しについて楽観的な見方をしており、イールドカーブ・コントロール政策の終焉が近づいていることに疑いの余地はないことを鮮明化する形となりました。

しかし、市場は超緩和政策に対する早急な離脱への期待を織り込んでいたので、政策決定後は円安となっている状況です。

米ドルは135円を超えて7週間ぶりの高値を更新して、ユーロは8年以上ぶりの高値である149円50銭まで上昇しました。

インフレ懸念が低調な米GDPも米ドル上昇

昨日は米GDP速報値が発表され、スタグフレーションへの警笛となりました。

米経済は今年3か月で減速して予想の2.0%を下回り、年率わずか1.1%の拡大を示しました。

しかしながら、GDP物価指数が予想以上に上昇したことから、米ドルは急上昇する結果となりました。

とくにコア個人消費支出価格は第1四半期に予想の4.7%を上回り4.9%と跳ね上がる格好となりました。

米コア価格指数は、今日発表が予定されており、インフレ低下から3月はそれほど上昇していない可能性があります。

第1四半期の成長の主な要因は消費だったので、個人消費データにも注目が集まるでしょう。

FRBは基調的なインフレへの懸念が続くとしたら、来週の会合での利上げに続いて、今後も利上げを行う可能性が高いと言えます。

債券市場は、米失業保険申請件数の発表があった昨日から大きな変化は見られませんが、米国債利回りは今日低下しており、昨日の上昇から反転している状況です。

今日も米ドルは続伸し、1.10ドルを下回った強気のユーロにさえ圧力をかけています。

来週は、ECBも政策決定を控え、それまでに発表されるユーロ圏の経済データも焦点となるでしょう。

第1四半期のフランスとドイツのGDP速報値が期待外れだったことで、来週の政策会合での0.5%の利上げ観測はやや後退しています。

今日はドイツのCPI消費者物価指数も発表があります。

ハイテク銘柄は回復&アマゾン決算結果で上昇勢いは失速

今日の株式市場では、米主要株価先物指数は昨日の大幅な上昇の後、下落に転じました。

今週の大手IT企業の好調な決算結果が追い風となったことで、S&P500は2.0%、ナスダック指数は2.4%値上がりしました。

今週水曜日に米IT大手メタは予想を上回る決算結果を発表し、翌日の株価を約14%も押し上げる結果となりましたが、昨日の時間外で米IT大手アマゾンが今後の見通し悪化に懸念を明らかにしたことを受け、今日の米株式市場は下落に転じました。

アマゾンのCFOは、脆弱な経済が第二四半期での同社クラウド事業成長に影響を及ぼす見通しに警戒感を表しました。

しかし、市場全体ではリセッションへの深刻な懸念は見られず、今期の決算結果が最高値更新に繋がらなくとも、株価は底堅く推移すると見受けられます。