今日のFRB政策決定を控えて米ドル下落

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米債務不履行&銀行危機への懸念で米ドル下落

昨日の米ドルは他の主要通貨に対して下落して、今日も続落している状況です。

これは、米国の債務不履行の可能性に対する懸念と銀行セクターを巡る危機がまだ終了していないことへの市場の不安が反映している模様です。

イエレン米財務長官は、議会が債務限定額を引き上げなければ、6月1日までに債務不履行となり得る可能性が高いと発言しました。

また、ファースト・リパブリック銀行の破綻によって、ここ最近の銀行を巡る混乱の影響がまだ完全に表れていないことへの警笛となったように見受けられます。

さらに、3月のJOLTの求人件数が4か月連続で減少したことも、米ドル圧迫となった要因の可能性もあります。

FRB会合の一日前にこのデータが発表されたことで、市場はFRBが今日の政策決定後に利上げを停止して、今年後半に利下げを開始することを確信した模様です。

今日の政策決定では、0.25%の利上げが確実視されていますが、今年末までに0.75%ほどの利下げも織り込まれている模様です。

FRBによる最後の利上げの可能性

今日の利上げは既定路線のため、市場にとっては大きな衝撃とはならないと予測されます。

そのため、今日FRBが利上げを決定したとしたら、焦点はその声明とパウエル議長の記者会見となるでしょう。

市場は今回の利上げが本当に最後になるのか、そしてFRBは今後どのような政策を打ち出すのかを検討することになります。

基調的なインフレ率がFRBの目標とする2%を大きく上回る粘着性を維持し、インフレ期待も回復していることを踏まえると、パウエル議長が将来の利上げの可能性を否定することは賢明であるとは言えないでしょう。

また同様に、パウエル議長は利下げの可能性についても反論すると思われますが、大きな問題は市場がこの発言を信じるかどうかに尽きるでしょう。

FRBが次回の利上げを示唆したとしたら、米ドルは上昇するかもしれませんが、強気への反転とはまだ言えません。

市場がFRBによる年内の利下げを確信している間は、とくにECBが明日さらなる利上げを発表しタカ派に徹するとしたら、ユーロに対しては利益が返還される可能性が高いと言えるでしょう。

銀行株下落によって米株価後退

昨日、米株式市場は3つの主要指数全てにおいて1%以上下落しました。

理由は、銀行セクターの健全性と米国政府による債務不履行への懸念から、地方銀行株が下落したためです。

S&P500は主要な障壁である4,150を下回って、今日FRBがタカ派に徹したとしたら、この下落は拡大する可能性も十分あります。

とは言え、米株式市場の見通しは弱気とはほど遠いように見受けられます。

FRBによる利下げ観測と今年の収益シーズンにおけるハードルの低さから、大きな失望の余地は皆無に近いと言えるので、株式市場の下振れ拡大は抑制される可能性があります。

市場の緊張感は、原油価格とゴールド価格にも反映されており、昨日のWTI原油先物は5%以上も下落しました。

その一方、ゴールドは一時下落から反発して、上昇トレンドがまだ終わりではないことを示している状況です。