米ドルの売り圧力が続く中、USD/JPYペアは138円水準に下落

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市場のセンチメントはドルへの売り圧力を支持しており、それがこの下降トレンドをもたらしました。朝方に強力なADP雇用統計が発表されたことで一時的に買いが強まりましたが、勢いはすぐに反転し、ドルへの売り圧力が再び浮上しました。さらに、本日のISM製造業購買担当者指数(PMI)の低い内容もドルに下圧をかけました。

明日の米国の雇用統計の発表を見越して、連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーの最近の発言により、今月の追加利上げへの期待は大幅に低下しました。さらに、米下院での債務上限法案の可決は、債務不履行の懸念が軽減され、ドルへの売り圧力が高まる環境を生み出しました。短期金融市場では、FOMCが今月の会合で現行の金利を維持する確率が75%を超えています。

ただし、明日の米国の雇用統計の内容次第で見通しは変わる可能性があることを認識することが重要です。本日のADP雇用報告書は既に予想を上回る27万8,000人の雇用増加を示しました。ADP報告書は公式の非農業部門雇用統計と完全に一致するわけではありませんが、強い数字は市場センチメントに大きな影響を与える可能性があります。

一方、ユーロはドルに対して一定の買い圧力を示し、1.07ドル水準に上昇しました。ユーロ圏の5月のハーモナイズド消費者物価指数(HICP)速報値が発表されましたが、全体指数とコア指数の双方で大幅な減少が見られたにもかかわらず、ユーロの反応は比較的限定的でした。コアインフレの減少は、ドイツで新しい定額制の公共交通チケット(49ユーロチケット)の導入が一因とされています。

市場参加者は、インフレは引き続き減少すると予想されていますが、労働市場の緊張状況により、コアインフレはゆっくりとしか減少しない可能性があり、2%の目標達成への道程が長引くと考えられています。その結果、ヨーロッパ中央銀行(ECB)が6月と7月の両月にわたって0.25パーセントポイントの追加利上げを行うとの提案が出てきました。