本日のニューヨーク取引セッションでは、ドル/円は139円台まで回復し、市場では買いが優勢となりました。一時的に137円台まで一時下落する場面も見られました。特に、アメリカ株式市場は大きく上昇し、市場のリスク回避感が和らいだようです。この反応は、日本銀行の植田総裁がG20サミットで行った発言に帰因されています。
植田総裁は、持続的で安定した2%のインフレ目標に到達するまで、日本銀行の継続的な金融緩和政策への確固たるコミットメントが変わらないことを強調しました。また、2023年度のインフレ見通しを上方修正するとの一部報道が出ており、日本銀行が今後の会合でイールドカーブコントロール(YCC)の許容変動幅を拡大する可能性にも期待が高まっています。ただし、前述の発言はこれらの期待を直接的に支持しているわけではないことを注意しておきましょう。
しかしながら、今月の米国の雇用統計からの急落は収束しているものの、ドル/円の急激な上昇に対しては慎重な姿勢が依然として見られます。強い買いの勢いはまだ観測されていません。市場参加者は、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を中心に、次なる展望を待ち望んでいます。
本日発表された6月の米国の小売売上高は、前月比0.2%の増加で市場の予想を下回りました。ただし、飲食店、自動車、建材、ガソリンを除いた売上高は、前月比0.6%の増加で予想を上回っています。これは、労働市場が堅調でインフレ圧力が和らいでいることから、消費を支えていることを示しています。
ユーロ/ドルの為替ペアは一部で売り圧力を受け、1.12ドル前半まで下落しています。外国為替市場は、来週のFOMCとECBの政策会合に向けて慎重な姿勢を取っており、ユーロ/ドルの上昇傾向は一時的に停滞しています。しかし、大きな下落は見られておらず、為替ペアは依然として高い水準で推移しています。
現在、市場はECBの政策会合での利上げに対してかなりの自信を持っており、焦点は9月の動向に向けられています。全体的なインフレ指数は減速の兆候を示していますが、コアインフレ指数は依然として高水準で推移しています。純粋にインフレの観点から見れば、9月の利上げは正当化されると言えるでしょう。ただし、特にドイツを中心に将来の経済的見通しに対する懸念が高まっており、9月に関しては市場の予測は不確実です。
本日、過去に鷹派の姿勢で知られるオランダ中央銀行のクノット総裁のコメントが公表されました。「7月の利上げは必要だが、それ以降の利上げは可能性に過ぎない」と述べています。このより慎重な姿勢が市場の注目を集めています。来週のECBの政策会合では、ラガルド総裁が9月以降の動向について、利上げと据え置きの可能性を示す記者会見を行う可能性もあるため、注意が必要です。
ニューヨーク市場において、ポンド/ドルの為替レートは売り圧力を受け、1.30ドル台前半まで下落しました。この通貨ペアの動きは、市場のセンチメントがポンドに対して変化していることを示しています。
現在、市場参加者は明日に予定されている英国の消費者物価指数(CPI)の発表を熱心に待っています。この指標は英国経済におけるインフレ圧力を示す重要な指標として注目されています。もし英国のCPIがサービスインフレが7%を超える結果を示す場合、消費者物価が急上昇していることを示し、インフレ圧力への懸念が高まる可能性があります。
そのようなシナリオに対応して、英国銀行はインフレ対策と経済の安定化を図るために断固たる行動を取る可能性があります。これにより、8月3日に予定されている金融政策委員会(MPC)の会合において、0.50ポイントの大幅な利上げが実施される可能性が考えられます。
英国のCPIが持続的に高水準で推移し、賃金の伸びも堅調であることから、市場では英国銀行による近い将来の利上げが期待されています。