米国債利回り上昇でリスク選好低下&日銀新総裁報道による円高

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米国債逆イールド深刻化で米リセッション懸念強まる

今週、米株式市場は下落傾向にあります。

FRBメンバーのタカ派発言を受けて、市場は利上げサイクルの終焉にはまだ時間がかかると判断したもようです。

今週のFRBパウエル議長は、インフレの見通しに関してバランスをキープする発言をしましたが、昨日のリッチモンド連銀バーキン総裁などのFRBメンバーが早急な利上げ鈍化のリスクを繰り返したので、議長の発言に影を落とす格好となりました。

先週の政策会合後パウエル議長は、ここ数週間の金融環境の大幅な緩和に予想外にも言及しましたが、この発言も名目に過ぎず、FRBは今後の利上げを計画している可能性があります。

市場は当初、議長のタカ派でないスタンスに期待外れの反応にみてとれましたが、先週末の堅調な米労働市場の確認後にセンチメントは上昇しています。

先週末の米雇用統計の結果により、米国債利回りは上昇しています。

国債市場において最も懸念される材料は利回りの急上昇が、短期利回りに集中していることです。

特に2年債と10年債の利回り曲線の逆転はシリアスで、昨日は1980年代初頭以来の逆イールドカーブとなりました。

今週、米株価続落

この債券市場の反応は、必ずしもリセッションが必然的な結果となるのものではありません。

市場には今もなお、最終的なソフトランディングへの期待はあります。

それでも、FRBによる必要以上の利上げに市場は危機感を感じて、米株価に影響を与えているようです。

テスラなどの予想外に好調な企業収益にもかかわらず、S&P500とナスダックともに、今週は下落で取引を終える予定です。

現段階では、市場の焦点は来週火曜日に予定されている1月米CPI指数となります。

今週はミシガン大学の消費者信頼感指数の発表もあって、消費者のインフレ期待の低下にも着目するでしょう。

日銀次期総裁報道による円高

米ドルは今週下落の傾向にあります。

短期金融市場は大幅な価格改定が行われて、最終レートを5%以上に引き上げました。

他の中銀もタカ派姿勢を維持しているので、米ドルの上昇は限定的なので、しばらくこの傾向が続くと言えるでしょう。

米インフレ率が他国よりも急速にディスインフレを示さない限りは、米ドルの復活は難しいと言えます。

今日の米ドルは特に日本円に対して下落しています。

日銀の雨宮副総裁が次期総裁への打診を辞退したとの報道を受けて、日本円は全面的に上昇しています。

この報道によって、元日銀審議委員である植田氏の新総裁起用の憶測が広まっています。

植田氏は過去に利上げに反対したことで知られており、今日日銀の緩和政策を支持する発言をしました。

しかし、円高の背景にはいくらかの安堵感があるようで、米ドルは一時的に130円台を下回りました。

中国の再開に疑問視で豪ドルに影響&ロシア原油減産でカナダドル上昇

その一方、豪中銀が第4四半期の金融政策声明で、堅調なインフレ予測を発表したので、豪ドルは対米ドルで横ばいで取引されています。

しかしながら、軟調な経済指数が豪ドルに影響するでしょう。

中国では1月CPI指数とPPI指数ともに予想を下回ったので、再開後の中国の需要回復に疑問を投げかける格好となりました。

また、今日のカナダ雇用統計発表を控えて、カナダドルは若干上昇しています。

ロシアが予想外に原油の日量を最大50万バレルに減産したことで、原油先物は2%以上も急騰しました。

それゆえ、カナダドルの上昇の背景には、原油価格の上昇が要因と言えます。