米雇用統計を控えて銀行株下落&米株式市場下落

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今日発表の米雇用統計に注目

今週は、金利と株式の混乱をはじめ、金融市場にとっては波乱の一週間となりました。

FRBパウエル議長は議会証言で、インフレ抑制のために最終レートが以前の設定よりも高くなることを発言しました。

このタカ派発言を受けて、市場はボラティリティの変動を引き起こしました。

現在、市場はFRBによる次回会合での利上げをほぼ50%の確率で0.25%か0.5%と予想しています。

今日発表の米雇用統計が予想以上に堅調になった場合、この利上げ観測もさらに高くなる可能性があるでしょう。

企業調査によると、雇用の再加速が見られたことで失業保険の申請は過去と比べても低いので、民間のADPレポートは予想を上回りました。

そのため、米労働市場は未だ好調の兆しを見せ、今日の非農業部門雇用者数は1月の記録的な51万7千件から2月は20万件ほどになると予測されています。

非農業部門雇用者数が前回ほど堅調である場合にも、基本的にその後は軟調となる傾向があるので、市場の失望感のリスクが伴います。

とくに前回は、温暖な気候と季節調整が大きな影響を与えました。

それゆえ、今回のレポートには何らかの見返りがある可能性があります。

失望感は米ドル下落につながりますが、全体として好調な雇用市場なので下落傾向からトレンドになる可能性は低いと言えるでしょう。

日銀黒田総裁最後の政策発表も現状維持で円安

今日の日銀は黒田総裁による最後の政策発表で、現状維持と締めくくりました。

この決定は利回り上限の引き上げを期待していた一部の投資家を失望させたので円安となりました。

この決定の背景には、最近支給されたエネルギー補助金によって、東京のインフレ率が大幅に低下しているので、インフレ圧力は持続しないと判断したことにある模様です。

しかしながら、円安にはまだ回復の道が残っていると言えるでしょう。

労働組合と大企業の賃金交渉の場である春闘の速報結果は、5%を超える賃上げを示しており、これは日銀の目標を上回っています。

それゆえ、早ければ来月の会合で新総裁となる植田氏による金融引き締めへの土壌が整うことになるでしょう。

コモディティでは、ゴールド価格が昨日反発しました。

株式市場の不安定さが債券やゴールドといった安全資産への流入を引き起こした結果、ゴールドは約1%上昇しました。

銀行株下落&米株式市場も下落

その一方で、昨日の株式市場はパニック売りの兆しが垣間見られました。

金融システムの健全性への懸念が浮上したことで銀行株の下落となって、S&P500は1.85%下落しました。

この銀行株売りの要因は、SVBファイナンシャルグループでベンチャーキャピタルの顧客を中心に銀行部門の支払い能力が不安視されて、株価は60%の下落で取引されました。

今日の市場前取引でも、株価は28%続落しています。

大手金融機関の破綻リスクだけでも、米株式市場の悪夢を呼び起こしたことで売りが先で後から検討という取引のダイナミックスにつながったと言えるでしょう。

現在のところ、市場はデフォルトの確率と銀行のフットプリントがシステムの問題を引き起こすほどの被害になるか様子見しているので、売りは金融株関係に集中しています。