銀行株急落でグローバルに影響も株式市場は反発
昨日の株式市場は、シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の破綻で銀行株が急落して、大幅な売り相場となりました。
しかしながら、今日は若干の落ち着きを取り戻している模様です。
この破綻を受け、米国財務省とFRBは日曜日に緊急措置を発表しましたが、市場は波及効果を警戒して、米国および世界の銀行システムのへの懸念を完全に払拭するまでには至りませんでした。
米国の地方銀行株は未だにリスクが高まっていますが、今日は市場のパニックも緩和しているようで、米株式先物はプラスに転じて欧州株式市場も上昇で取引を開始しています。
ゴールドや日本円といった安全資産はは若干の下落を見せていますが、FRB利上げ観測が後退するなか、準備通貨としての恩恵を受けられなかった米ドルは、今日損失の大部分を取り戻しています。
ブラックアウト期間中のFRBは発言なく、市場は試行錯誤
昨日のFRBはシリコンバレー銀行破綻を導いた銀行規制の見直しに向けた声明を発表しました。
しかし、来週は政策会合を控えたブラックアウト期間なので、FRBメンバーは今のところはコメントを発表することができません。
それゆえ、この破綻が引き起こした一連の出来事が、政策決定にどのような影響を及ぼすのかについて見解を述べることはできない状況です。
しかしながら、短期金融市場ではFRBだけでなく世界の中銀による利上げ観測が後退しています。
FRBの最終レートは、ほんの数日前までは5.6%以上だったものの、現在は5％未満と見られています。
これに対して、市場価格は分刻みで大きく変動しており、市場がシリコンバレー銀行破綻の被害を測定するのに苦労していることを示しています。
VIXボラティリティ指数は、今もなお高止まりしており、米株式市場の警戒感が大幅に後退するまでは、市場の期待をあまり織り込まない方が賢明との見方が強まっています。
今日発表の米CPIレポートは注目
現在のリスクは、今日の米CPI指数に市場がどう反応するかと言えるでしょう。
現在市場は、FRBが次回会合で0.25%の利上げを実施した後、利上げを据え置きして年内に利下げを行うと予測しています。
2月のインフレ率は、FRBが大幅に引き締めを緩和する必要がないことを確認する良い機会となるかもしれません。
サービス部門の価格圧力は未だ減速しておらず、コアインフレ率が十分に低下していないのでSVB破綻による被害が米国の金融システムに深刻なリスクを及ぼさない限りは、FRBによる利上げを停止する理由は無いと言えるでしょう。
国債利回り低下＆リスク選好は抑制
とはいえ、米国債利回りが低下するなか、インフレ期待が先週から急降下しているので、来週の会合ではハト派転換の可能性もあるでしょう。
日本の10年債利回りでさえも急落しており、今日のアジアセッションで一時0.20%を下回りました。
しかし、センチメントは脆弱化し、米ドルの回復に伴ってオーストラリア・ドルやニュージーランド・ドルなどのリスクに鋭敏な通貨は後退している状況です。
昨日急騰したユーロとポンドは、今日若干の下落を見せています。
とくに、堅調な英雇用データにもかかわらず、ポンドはさほど恩恵を受けていない模様です。
ゴールド＆ビットコインへ安全逃避
安全資産の需要が緩和されたので、ゴールドは先週の安値から6%ほど急騰した後、今日は下落し、1オンス1,900ドル辺りで取引されています。
仮想通貨においては予想外の上昇で、ビットコインはシグネチャー銀行の破綻にもかかわらず、1週間で25%以上もの上昇となりました。
規制当局による預金者保護の政策発表は、仮想通貨トレーダーには吉報となったようで、今日はビットコインが25,000ドルレベルまで上昇するなど、デジタル通貨のサポートとなり、安全資産への逃避となった可能性があります。
