銀行危機緩和で株価上昇&円安で米ドル上昇 投稿者: kaigaifx-trade2023年3月29日2023年3月29日市場ニュース 株式市場は回復再開 昨日の米株式市場は市場が落ち着きを取り戻したものの、下落して終了しました。しかしながら、今日は世界の株式市場は前向きなスタートを切り、銀行を巡る混乱で更新した安値から復活して上昇傾向にあります。ただ、銀行危機への懸念が一段落した今もなお、市場は米地方銀行と欧州銀行大手の信頼性に対して懸念を抱いており、この先に何が起こるかを警戒していることは間違いないと言えるでしょう。欧州株式市場も主にアジアでの好調なパフォーマンスに支えられて、今日は黒字でスタートしました。理由は、中国のIT大手であるアリババが6つの事業部門に分割され、新規公開株式を検討していることが発表されたことに端を発して、香港のハンセン指数がアジアセッションで上昇を牽引したためです。アリババの再編は中国当局との長年の対立を解消することと中国のテクノロジーセクターに対する政府の取締り緩和を示唆していると言えます。アリババの米国上昇株は、昨日14.3%急騰して、リスクオンムードの高まりに拍車をかけました。 市場はまだ先行きが不透明 今日のEミニ先物は米株式市場の始値の高さを示していますが、市場には方向性が欠けている模様です。第4四半期の終わりに差し掛かり、第1四半期が始まる来週の市場は株価上昇が継続することに消極的なのかもしれません。しかしながら、米経済の堅調なデータはFRB利上げ観測につながるので、市場は上振れへの可能性を抑制させている可能性もあります。昨日に発表されたコンフェレンス・ボードによる3月の米消費者信頼感指数は、予想以上の上昇をみせました。これによって、米株式市場の上昇となった可能性がありますが、FRBが次回の会合で再び利上げを行うか、もしくは利上げを停止するのかについては意見が分かれてるところです。セントルイス連銀ブラード総裁は、マクロ・プルーデンス政策が銀行を取り巻くストレスの抑制に功を奏したと評価する一方で、金融政策はこれとは別にインフレ抑制を目標とすべきだろうと述べました。 円安で米ドル上昇 政府当局が銀行システムの危機回避のために十分な政策を行使したとの自信の高まりにより、今日は安全資産である円の売りが進み円安となっている状況です。円は全ての主要通貨、とくに銀行危機でダメージを受けた米ドルに対して下落しています。今日の米ドルは132円辺りで取引されていますが、米ドルは特にユーロとポンドに対して若干下落している模様です。これは、単なるテクニカルな調整が理由かもしれませんが、2年債利回りが4.0%以上まで押し戻された後の堅調な回復の可能性もあるでしょう。 豪ドル下落&原油価格は上昇 円に続いて、オーストラリアドルも下落している状況です。理由は、オーストラリアの小売り売上高が低迷な中、2月のCPIインフレ指数が前年同月比で6.8%と減速したことによって、豪中銀による来月会合での金利の据え置きがほぼ確実視されているからです。一方、ゴールドはドル高が重しとなって昨日の利益のほとんどを帳消しにしています。しかしながら、原油は楽観的な見方が改善するなか、3日連続で上昇している状況です。トルコのパイプラインを介した原油輸出を巡るイラクのクルド人自治区とバグダッド間の紛争も原油価格を押し上げている要因でしょう。この法的紛争は、日量約45万バレルの輸出量に影響を及ぼすと見られており、地域の供給に大きなダメージを与えることになるでしょう。