ゴールドは下落から上昇&原油価格はOPEC減産後の急騰から下落

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ゴールドは一時下落も反発

昨日は主だった経済指標がなかったので、資本フローとリスク選好が市場行動の推進力となりました。

ほぼすべての通貨ペアは、横ばいで取引を終えましたが、カナダドルと日本円は下落する結果となりました。

一方、コモディティではゴールドの変動が顕著になりました。

当初、ゴールドは米ドル高と実質利回りの上昇とともに下落し、キーゾーンとなる1,980ドルを下回りましたが、米ドルと利回りの上昇が一段落すると一気に反発して上昇しました。

ゴールドのボラティリティは反対の圧力が作用しているので、引き続いて継続する可能性があります。

堅調な経済指標の発表が続き、FRBやECBおよびイングランド銀行による利下げ観測が低下したことで、差し迫った景気後退への懸念は和らぎ、利回りの回復となりました。

しかしながら、中国やロシア、トルコなどの中央銀行はゴールドを引き続き購入しているので、利回りの上昇によるマイナス圧力に反発してゴールド価格をサポートしている模様です。

ゴールドが上昇トレンドを再開して記録的な高値を更新するには、リセッションの懸念が再浮上する必要があると見られるので、明日の主要経済国からの企業調査を始めとした経済データが主に材料視されることでしょう。

原油価格下落でカナダドルにダメージ

今週の原油価格は激しい売りが展開されて、今月初めのOPECによる減産計画発表後の急騰から下落しています。

この突然のセンチメントの変化には、とくに引き金となった要因はありませんが、今週の中国の経済成長率の上昇と米国の原油備蓄の減少によって、エネルギー価格に対して強気のニュースとなった可能性が高いと言えます。

原油価格の下落は、輸出を通じてエネルギー市場とリンクするカナダドルにダメージとなりました。

今月初めのOPEC減産計画以前の1バレル75ドル付近までにはまだ近づいていませんが、とくに株式市場のムードが悪化したとしたら、原油価格とカナダドルはともに下落基調が続く可能性もあります。

現在、株式市場は勢いを失っているように見受けられます。

テスラが第1四半期の減益を報告したあとに、先物は今日の始値の低下を示しています。

フリーキャッシュフローは昨年から約80%も減少して、今日の市場前取引でも株価はおよそ8%下落しています。

テスラのCEOであるイーロン・マスク氏は、電気自動車の価格競争に対して、短期的に市場シェアを拡大するために利益を犠牲にする準備は整っていると述べたこともテスラ株価下落の大きな原因となった可能性があります。

全体として、中央銀行によるバランスシートの拡大とそれに伴う流動性の注入は今年の市場の力強い復活を支えていますが、このラリーは企業収益が減少するなかで、バリュエーションをより高価にしたに過ぎないので、現実に直面してダメージを受けるリスクがあるでしょう。

今日はFRBメンバーによる発言が続く

今日発表されたニュージーランドのインフレデータが予想を大きく下回ったので、ニュージーランド準備銀行による利下げ観測が高まりました。

そのため、NZドルは下落している状況です。

今日の注目材料は、FRBメンバーの発言でウォラー理事、クリーブランド連銀メスター総裁とダラス連銀ローガン総裁の発言が続く予定です。

次回会合前のブラックアウト期間が始まる今週土曜日を控えて、市場の期待をつなぐ最後の機会となるかもしれません。

そして、明日は日本のインフレデータの発表が予定されているので、来週の日銀会合での政策変更が検討されるかどうかが、市場の手掛かりとなる可能性が高いと言えます。