堅調な米PMIも市場観測の変化なし
米経済は、継続的な利上げと銀行危機にも関わらず、経済成長の急激な減速への憶測に反して、リセッションのリスクを回避している模様です。
S&Pグローバルの米PMI速報値では、4月の企業活動はサービス部門と製造業ともに予想以上に好調で景況拡大を示しています。
経済活動全体を測定する総合PMIは、11か月ぶりの高水準に加速して、銀行を巡る混乱による実質経済への持続的な影響はほとんど見られない模様でが、投入価格と雇用の上昇が見られることは、FRBと市場の心配材料になる可能性もあります。
このPMIと先週のFRBウォラー理事のタカ派発言を受けて、現在市場は来週での会合で0.25%の利上げを織り込んでいますが、利下げ観測は低下している状況です。
クリーブランド連銀メスター総裁やFRBクック理事の発言も含め、先週のFRBメンバーによるバランスの良い発言によって、市場は来週の会合で予想される利上げが最後になることを期待しています。
FRBが来週の利上げ後、一時停止を示唆するかは、ここ数週間で貸出基準が厳しくなったかどうかによるでしょう。
FRBは独自に企業や消費者への信用拡大に関するリサーチを進めており、信用引締めの兆しが見られるなか、最新のレポートの結果を注意深く見守ることになると見受けられます。
米ドルの強気トレンドは限定的＆ECBタカ派維持でユーロ上昇
金曜日の好調なPMI発表後もFRBの金利予測に変化がなかったことから、米ドルはやや下落する形となりました。
年内の利下げの可能性は低いとのFRBのメッセージを市場は少しずつ受け入れているように見受けられます。
そして、ECBなどの他の中央銀行によるタカ派発言とともに米ドルの強気トレンドを妨げている原因となっている模様です。
ECBのラガルド総裁は、金曜日にさらなる利上げの必要性を示唆したことで、オランダ中銀のノット総裁も引き締めサイクルが夏まで続く可能性について発言しました。
ユーロ圏のPMI指数は4月に予想以上に上昇しましたが、同時に製造業の落ち込みも鮮明化する結果となりました。
イギリスのPMI数値も好調でしたが、ECBのタカ派姿勢からユーロはポンドよりも勢いを増している状況です。
今日のユーロドルは1.10ドル台、ポンドドルは1.2450ドル前後と小幅上昇しています。
日銀政策決定は金曜日
今週は木曜日に米GDP速報値、金曜日にユーロ圏GDPと米PCEインフレ測定値など、重要なデータが続く予定です。
FRBとECBは来週に政策会合が行われるので、これらのデータは政策決定に重要な役割を果たす可能性があります。
また、今週の金曜日には日銀の植田新総裁による初の政策決定が予定されています。
しかしながら、植田新総裁は当面の間、政策緩和を継続すると述べているので、今週の発表にはサプライズは用意されていないとみられ、今年後半の政策決定で何らかの政策修正が予定されているでしょう。
日銀による政策調整の期待が低下するなか、今日の日本円は米ドルに対してやや圧力を受けており、円安傾向は継続すると言えるでしょう。
今週、大手ハイテク決算報告続く
金曜日の米株式市場の静かなセッションの後、今日は米先物が下落しているので、欧州株式市場も下落している状況です。
しかしながら、明日のマイクロソフトとアルファベットおよび木曜日のアマゾンと大手ハイテク社の決算報告が続くので、今週は市場に活気が戻って来る可能性が高いと言えます。
これら大手ハイテク社はクラウドユニットによる好調な成績から恩恵を受ける可能性が高いですが、市場は各社のAI戦略についてもっと興味があると言えるでしょう。
